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会社法監査約10分

会計監査人の任期は何年?再任・不再任・変更のタイミング

任期は原則1年。満了時点とみなし再任を具体例で確認し、契約更新・担当責任者の交代との違いを整理します。

任期の具体例:3月決算会社で6月に選任した場合

選任 → 対象事業年度の決算 → 定時株主総会の終結 → 再任又は交代

時点出来事任期・再任との関係
2026年6月26日定時株主総会で会計監査人を選任選任後1年以内に終了する事業年度を確認する
2027年3月31日その事業年度の決算日決算日だけでは任期は満了しない
2027年6月24日2027年3月期の定時株主総会が終結この総会の終結時に任期が満了。別段の決議がなければ再任とみなされる

通常の1年決算を前提とした説明用の例です。任期の終わりは、選任日のちょうど1年後ではなく、対象事業年度の定時株主総会の終結時です。決算期変更等がある場合は個別に確認します。

根拠:会社法第338条(任期・みなし再任)↗

再任・不再任・期中交代の違い

状況会社法上の基本総会前に確認すること
同じ会計監査人を継続任期満了の定時株主総会で別段の決議がなければ、みなし再任監査品質・独立性・体制の評価、契約更新と報酬等
任期満了時に変更現任を不再任とし、通常は同じ定時株主総会で後任を選任監査役等による議案内容の決定、後任候補の受嘱判断、引継ぎ
期中に辞任・解任等退任の理由に応じた対応と、会計監査人の欠員への対応が必要後任選任の時期、一時会計監査人の要否、監査報告への影響

01. 任期は原則1年。ただし満了するのは定時株主総会の終結時

  • 会社法第338条第1項は、会計監査人の任期を、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時までと定めています。「選任から365日」「決算日の当日まで」と数えるものではありません。
  • 会計監査人になるのは、公認会計士又は監査法人です。監査法人が選任されている場合、会社機関としての会計監査人はその監査法人であり、担当する個々の公認会計士の在任期間とは区別します(会社法第337条)。
  • まず、会計監査人を選任した総会の日、事業年度の終了日、その事業年度に関する定時株主総会の日を確認します。決算期の変更などで事業年度が通常と異なる場合は、単純な年数計算をせず、法令と定款、総会の予定を合わせて確認します。

02. みなし再任とは?毎年の再任決議と継続の評価を分ける

  • 任期満了の定時株主総会で別段の決議がなければ、会計監査人はその総会で再任されたものとみなされます(会社法第338条第2項)。継続するたびに、必ず再任議案を上程して決議しなければならない制度ではありません。
  • ただし、みなし再任は、監査品質や独立性、担当体制の確認を省略してよいという意味ではありません。監査役、監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査役等」)は、当期の監査状況や説明・報告を踏まえて、翌期も継続するかを検討します。
  • 会社側では、重要な会計論点への対応、決算・監査日程、担当チームの経験、情報共有の状況を整理し、監査役等の判断に必要な材料を用意します。会計処理に関する厳しい指摘があることだけを、不再任の理由とするような判断は避けます。

03. 任期満了時に変更するなら、不再任と後任選任を総会前に準備する

  • 任期満了に合わせて変更する場合は、現任の会計監査人を再任しないことと、後任の会計監査人を選任することを準備します。通常は同じ定時株主総会で対応し、会計監査人が欠ける期間を作らないように進めます。
  • 会計監査人の選任・解任・不再任に関する株主総会議案の内容は、会社の機関設計に応じて監査役等が決定します(会社法第344条等)。経営者が候補と条件を相談することと、会社法上の議案内容を決定する権限を分けて考える必要があります。
  • 後任候補は、独立性、監査チームの確保、会計上の論点、前任監査人からの情報等を確認して受嘱可否を判断します。候補の受嘱判断や総会議案の準備に要する時間を見込み、総会直前まで選定を待たないことが大切です。

変更方法と注意点は会社法監査の監査法人変更、準備から選任・引継ぎまでの順序は監査法人変更の9ステップをご覧ください。

04. 期中の辞任・解任は、任期満了による不再任と別に考える

  • 期中の辞任や解任は、定時株主総会での任期満了とは異なる対応です。株主総会による解任は会社法第339条に定められていますが、正当な理由がない場合の損害賠償の問題にも注意が必要です。監査役等による解任は、会社法第340条の法定事由や同意・報告の要件を確認します。
  • 会計監査人が欠けた場合等に、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役等は一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければなりません(会社法第346条第4項・第6〜8項)。後任が決まるまで現任が当然に続ける、という前提では進めないでください。
  • 期中交代では、残された監査期間や監査報告の予定、前任・後任の情報共有を早急に確認します。本記事は任期と判断時点を整理するものです。個別の変更方法や手続の順序は、関連記事002・003で確認できます。

05. 会社法上の任期と、監査契約の更新は同じではない

  • 会社法上の会計監査人としての地位と、監査契約の対象年度・業務範囲・契約期間は区別します。任期満了時にみなし再任となる場合でも、翌期の監査範囲、報酬、体制、資料提出日、監査報告日などの契約条件は別途確認します。
  • 反対に、契約書の終了・自動更新条項だけで、会社法上の選任・不再任等の手続が完了するわけではありません。契約の終了日と、会社機関としての退任・就任の時点を並べて確認してください。報酬等を定める際の監査役等の同意も、任期とは別に必要な確認事項です(会社法第399条等)。
  • 一般的な任意監査では、会社法第338条の任期・みなし再任が当然に適用されるわけではありません。ただし、法律上の設置義務がなくても、定款で会社法上の会計監査人を置いている場合は、単なる任意の監査契約とは異なります。

報酬・見積りの確認は監査費用の決まり方・見積り比較、任意監査の変更は任意監査の監査法人変更で解説しています。

06. 監査法人の任期と、監査責任者のローテーションの違い

  • 会計監査人の任期が原則1年であることは、毎年別の監査法人に替えなければならない、という意味ではありません。同じ監査法人が、みなし再任等により継続して会計監査人となることがあります。
  • 一方、公認会計士法や日本公認会計士協会の倫理規則には、対象となる会社や担当者の役割に応じた長期関与・ローテーションの規律があります。これは、監査に関与する公認会計士等の担当期間を管理するもので、会社法上の会計監査人の任期と同じ制度ではありません。
  • 交代時期を確認するときは、「監査法人そのものを変更するのか」「同じ監査法人の中で担当責任者が交代するのか」を分けます。適用される規律や必要な体制は会社・監査法人の状況で異なるため、一律に何年で法人変更が必要と決めず、現任監査人と監査役等に確認します。

会計監査人の任期・監査契約・担当者交代の違い

確認する区分期間・交代の基準混同しないための確認ポイント
会社法上の会計監査人の任期会社法第338条対象事業年度の定時株主総会の終結時に満了。別段の決議がなければ、みなし再任となる
監査契約の期間契約の対象年度・業務範囲・契約条件翌期の範囲・報酬・報告日等を確認。契約の終了日だけで、会社法上の退任は決まらない
担当責任者のローテーション適用される法令・倫理規則、担当者の役割等担当者の交代時期を確認。監査法人自体の変更とは区別する

会社法上の任期が原則1年であることを、監査契約が必ず1年で終了する、又は毎年別の監査法人へ変更する、という意味に置き換えないでください。

07. よくある質問

非上場会社なら任期を長くできますか?

非上場であることを理由に、会計監査人の任期を定款で数年に延ばすことはできません。会社法第338条による任期とみなし再任の仕組みを確認します。非公開会社の取締役・監査役の任期を伸長する制度とは区別してください。

同じ監査法人を継続する場合、毎年の再任決議は必要ですか?

必須ではありません。任期満了の定時株主総会で別段の決議がなければ、再任されたものとみなされます。ただし、継続の評価、監査契約・報酬、必要な登記等の確認まで省略できるわけではありません。

任期が1年なら、監査法人も毎年変更する必要がありますか?

毎年変更する必要はありません。同じ監査法人の再任は可能です。監査品質、独立性、担当体制などを評価し、継続又は変更を判断します。監査責任者のローテーションとは分けて確認してください。

担当パートナーが替わるだけでも、株主総会で選任しますか?

同じ監査法人が会計監査人であり続ける通常の担当者交代であれば、監査法人を新たに選任する手続とは異なります。監査法人からの職務担当者の通知や、新担当者の体制・引継ぎを確認します。

契約を更新しなければ、会計監査人も退任しますか?

契約を更新しないことだけでは、会社法上の退任を判断できません。変更する場合は、不再任等の会社法上の手続と契約終了の条件を両方確認します。会社機関としての地位と監査契約の期間は区別してください。

任期満了が近いのに、後任が決まっていない場合はどうしますか?

現任の再任を検討する場合と、辞任・解任・不再任等で欠員になる場合を分け、監査役等と早急に対応を決めます。欠員が生じ、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、一時会計監査人の選任が必要です。後任候補の受嘱判断と監査報告日への影響も確認します。

CHECK LIST

実務チェックリスト

  • 選任日、事業年度の終了日、対象となる定時株主総会の日を確認した
  • みなし再任の仕組みと、現任を継続するかの評価を分けて確認した
  • 変更する場合は、監査役等の議案決定と後任候補の受嘱判断を総会前に進めた
  • 会社法上の地位と、監査契約・報酬・報告日をそれぞれ確認した
  • 法人変更と担当責任者の交代を区別し、欠員や引継ぎへの対応を確認した

REFERENCES

参考資料

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